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全日本ラリー選手権参戦レポート

2002全日本ラリー選手権2輪駆動部門参戦レポート

ナビゲーター参戦レポート 第9戦 イースト九州2002

あっという間に最終戦。
ついこの間、「やっとシーズン開幕だー!緊張するなあ」などと言っていたのですが、本当に1年(シーズン?)は早いものです。

さて、大事な最終戦だというのに、2週間前に行ったダイビングで私は首を痛めてしまいました(どう潜ったら首を痛めるのか
不明ですが)。さらに、前週の関東戦で、とんでもないモトクロス用のジャンプ台つきのコースを走り、着地の瞬間「ゴキッ」とものすごい音がして、首が回らなくなりました(笑)
「大丈夫か?心配だし、体が大事だから大分はやめとくか」という優しい言葉の代わりに、上原さんは医療用ネックガードを私に贈ってくれました(笑)
ネックガードをつけたままソファで眠り(枕も痛いのです)、ロボットのように動く私に 「本当にそれで出るつもりなの??」とダンナは心配してくれましたが、「まー、ラリー始まったら痛み忘れると思うし」と答え、本当にエントリーとなってしまいました。(本当はどこかで止めてほしかった・・・)

大分のダートは、日本一ひどいと言ってもいいような、オールダートのラリーです。
まあ、モトクロスジャンプ台はないにしても、この首でどこまでもつかも、今回私にとっての大きな問題でした。
痛み止めを飲み、首にはタオルを巻いてメットを固定し、みんなに笑われながら会場をスタートしました。

今回のラリーは全てハイアベです。だんだんアベが上がってきて、最終的にはSSと同じく、速いもの勝ちになるのですが、最初のあたりは乗れそうなアベです。「ナビ勝負だな」と周囲からのプレッシャーが聞こえ、緊張でさらに首が固まります。
でも、私はナビの質が高いと評判の、九州出身ナビなのです。大分のラリーは、デビューしたての頃から出ていました。
ここは腕の見せ所!!きっちり減点抑えて、上原さんを勝たせるのだ!!

1CP~2CP(3.51km:アベ45)
アベ45ということは、ペースノートを作りながらだと乗れない可能性がある。
「ノート読みながら大体のとこまで行って、チェック見えたら調整ね」と打ち合わせて、スタート!
今までにも走ったことのある林道なので、ペースノートを読みながら、確認しながら走る。乗るか、乗らないかのアベになると、ナビはペースノートを読みつつ、ラリコンで距離を確認しつつ、時間を見つつ、ファイナルを見るという、大変な作業をしなくてはなりません。

っていうか、そんなのできるわけねえーー!

おまけに路面は最悪、ペースノートの文字すら読みづらいのに、激しく振動するラリコンの数字なんて、とてもじゃないけど、そうそう読めない。さらに、ペースノートはあるけど、ダートであるため、区間距離が出されていても、実際の表示はぜんぜん違います。
チェックの位置がどこかは分からないのに正解通過時間を出されても、どうやって入れというのか!?
ノート、ラリコン、距離、時間・・・・うううう、わからあああああん!!
3km地点は過ぎた。そろそろチェックが出てきても良い頃なのに、出てこない・・・だめだ、正解時間過ぎる!
「踏んでえええええ!」判断が遅かった。11秒遅れ。「ノートを作りながらじゃ遅れる」どこじゃない!!
アベ45をなめていた。しまった・・・・
気がつくと、首に巻いていたタオルが落ちています。んー、薬もまだ効いてるし、もうじゃまだ!取っちゃえ!!

3CP~4CP(3.33km:アベ50)
ここもノートはあるけど、チェック位置は分からない。
さっきの教訓を活かして、今度こそ減点を抑える!!
ノートを読みながらラリコンを見る。ファイナルはあてにならないから、距離と時間を見て判断するが、ダートだから距離だって全然ずれてきて、正確な距離はわかりません。重ステだから乗れないだろうと判断していた私がいけなかった。
目の前にチェックが現れた瞬間、時計を見たら全然早い!「チェック!!止まってえええーーーー!!」ピー!

ガーン・・・16秒早着・・・
あまりのショックに、口をきくこともできません。呆然として固まっている私を見た上原さんは、てっきり首の痛みが悪化したのだ
と思ったらしく、「どうした?首、痛いか?」と聞いてきます。
「違うの・・・・じゅう・・・16秒早着・・・・ごめん、私のせいや」
ああっ!1ステそうそう、こんな減点をドライバーに背負わせるなんて、ナビ失格だ!
なんだよもう・・・あたし、何やってんだよ・・・落ち込む・・・

 
ここでサービスに一度戻ります。
「このままじゃ、とてもじゃないけど入賞争いやばいかも」サービスに戻ったら、他の選手のタイムなどを聞きに回るのがナビの仕事ですが、さすがに腰が重い。
「あああ、上原さんに何て言えばいいんだろう」と落ち込みながら、他の選手の情報を集めます。と、シリーズ3位の曽根選手が早くもリタイヤしたとの情報が!こっ、これは!!そう、私は忘れていたのです。この大分の道は非常に悪く、完走するのが早いか、車が逝ってしまうのが早いかというのも、勝敗を分ける要素なのです。
ということは、どんどん選手が減れば、今の順位だってひっくり返せるかも?(なんということを)
それに加えて、最初のチェックがキャンセルになり、減点11も消えました。
まだまだ減点差は大きいけれど、まだハイアベは1本しか済んでいない。ダートだし、これからはサバイバルなラリーになるはず。
なんとかする!なんとかしよう!!

サービスで重ステ防止の森園チューンを施してもらい、2ステに入ります。
ここからは、乗れないアベが増えてきます。そうなれば、上原さんの出番!!私もがんばる!!

5CP~6CP(3.13km:アベ58)
ここはペースノートのない林道です。しかもアベ58。上りだし、まず乗れないだろうと判断。ここはノートがないので、私も前に意識を集中できる。チェックを見つけてからの判断が大事だ。よし!!
ここは他の2本の林道よりも路面がいい。硬いとは聞いてたけど、いい感じで中速コーナーが続き、上原さん向きの林道だ。
ノートがなくても速い!速い!
3km近くなってきた。そろそろチェックが出るかも・・・見えた!看板!「落として・・・!」そう言いかけてよく見ると、ち、違う!!なんだか分からないけど、別の看板だ!!「踏んでっ!踏んで!!」しかし上原さんにはうまく伝わらず、踏んだときには目の前にチェック!「踏んでえええええ!」ピー!
5秒遅れ・・・・ああ!さっき落とさせなければ、絶対にちょうど良かったはず!!ばかばかばか、あたしのばか!!
よく考えればあれがチェック看板とは違うことくらいすぐに分かりそうなのに、力が入りすぎていたのか、早く伝えなければという気持ちから焦ってしまったのか・・・・
乗れるアベに遅れさせてしまったということが、重く重く私にのしかかります。今日はどうも調子がでない。もともと相性のよくない大分のラリーだけど、いつもなんだかんだで優勝することが多かった。なのに今回は・・・くそう、悔しい!!

ここで1時間のプールですが、不安と焦りで、とてもシートに座っていられません。
他の九州出身の先輩ナビたちのところに相談に行くと、カウントダウン方式を勧められました。なるほど、次はそれでいこう!
上原さんは車の中で目を閉じて休んでいます。
ああ・・・もう、絶対にミスは許されない!絶対に、上原さんの足はひっぱりたくない!

7CP~8CP(3.14km:アベ56)
さっきの林道の下りです。しかもアベは56。さっきの上原さんの走りだと、絶対にのる。ということは、正解秒に入って減点ゼロにしないと、また減点をくらってしまうことになる。
1ステの教訓を活かし、ここからは正解時間が近づいたら、私がカウントダウンすることに変更。ラリコンとノートと時間と距離を見て、チェックを発見してから踏むか抜くかを判断してそれを私が上原さんに伝えるには、あまりにもロスがある。先にターゲットタイムを上原さんに伝え、距離と時間が近づけばカウントダウンを始め、チェック発見時の位置によって、上原さんが踏むか抜くか判断する。これが一番ロスがない。
下りのダート、上原さんの得意とするタイプの道。・・・・は、速い!!ノートがないのに、なにこの速さ!
これは確実に乗る!!問題はチェックがどういう出方をするか・・・直線の先に出てくれれば調整できるけど、コーナー出口なんかに出たらやばい・・・
そう思っていたとき、山側からでっかい毛玉の塊みたいのが2つ、ごろごろと落ちてきた・・・?
シ、シカだーー!! 「シ、シカよシカ!!シカだあーーー!」しかし上原さんは巧みにシカを避け(笑)、道から落ちるかという動きの後、しっかり挙動を取り戻した。「シ、シカやったね!こ、子ジカやったね!」ノートを読む必要のない私は、シカの出てきた衝撃で、そればっかり叫んでいます(笑)

それにしてもこの動き・・・私がいつもノートを読んで忙しくしている間、目の前ではこんなに楽しいことが起きていたのか!
上原さんと組んで、目からウロコが落ちたかと思っていましたが、これは・・・あたし、人生損していたかもってくらいに、下りのダートは面白い!!これからはペースノート読むのやめて、前向いてようかな(笑)
ターゲットタイムが近づき、私はカウントダウンを始めます。「11・・・12・・・・13・・・あ!チェーーーック!!」
上原さんも気付いてすぐにブレーキを踏んだが・・・下りのダートじゃ止まらんっちゅーの!
ミラージュはまっすぐチェック看板に突っ込んでゆく。「轢く!これは轢く!」思った瞬間、上原さんはブレーキを抜いて回避!
そしてそのままチェックラインを通過し・・・・・ピーーーー!!
山の中に無情に響く笛の音。4秒早着。うおおおおお!どーにもこーにもうまくいかん(涙)!!

9CP~10CP(3.33km:アベ58)
ここはさっきアベ50で走って早着をくらった林道です。でも今度はアベ58だから、乗らない。ということは、今度こそ、速い者勝負!!上原さんの実力発揮だ!!
確実に路面は悪くなり、ノートを読み上げる声も下から突き上げる衝撃で、果たして聞き取れるのかどうなのか分からない状態。いけ!いけ!いけーーーー! ピー! 12秒遅れ。トップから4秒遅れています。

11CP~12CP(3.51km:アベ56)
最初に走った林道です。ここはこの大分のラリーでいつも使う道で、エントラントの間では「ああ、あの道ね・・・」と、口にするだけでトーンダウンしてしまうほどの悪路。2度目でその悪路ぶりにも拍車がかかっております。アベ56ですから、ここも絶対に乗れないアベです。この悪路をどれだけいけるか?
もはやノートの読み上げに意味があるのかどうかという状態。自分ですら、自分が何を言ってるか聞き取れない状態です。
でも上原さんはノート通りに突っ込んでいきます。いけーーー!!
しかし、ゴールしてみると54秒遅れ。トップとは10秒の差。・・・・つらい!

ここでまた、サービスに戻ります。
今までの減点差を見ると、やはり前半での減点が響いています。上原さんのテンションも低め。
ああ、ドライバーが走りやすいようにするのがナビの仕事なのに、いきなり減点背負わせて、どうするのよ・・・
でも、食事の用意をしてくれたり、ミラージュをメンテしてくれるサービスのみんなを見ていると、めげてはいけないという気持ちになりました。
そう、ラリーは1人でやってるんじゃない。私がこんな顔をしていたら、せっかく来てくれたみんなに申し訳ない。
確かに私のミスだけど、反省と落ち込むのは違うはず。落ち込むなら、全部終わってから1人で落ち込もう!
「よっしゃ!後半はもう乗れないアベばっかりやけん、実質SSと一緒!あとは上原さんの腕次第!がんばるよ!いくぞ!!」
ちなみに、急に元気になった私を見た上原さんは、『ハラがいっぱいになると、元気がでるんだな』と解釈したそうです。
(あたしゃ子供か!!)

周囲の情報を集めてみると、今の状態で年間シリーズ6位入賞は確定、もし、私たちが3位になれば、榊選手も逆転できそうだということが判明!「おっしゃ!!がんばるぜ!」上原さんにも力が入ります。
あと少し!!がんばるぞ!

13CP~14CP(3.13km:アベ58)
ここはノートのない林道。アベ58だからおそらく乗れません。ノートがないのをいいことに、久しぶりに何もしないでただただダートを楽しみます(笑) 「がんばれー!いけー!踏めーー!」(無責任な叫び)
途中、コーナーを抜けると、白いレーシングスーツの後姿が!
「気をつけてっ!リタイヤ車!!」
なんとリタイヤしているのは岡田選手!岡田選手のセリカのリアは道の真ん中にまだ残っていて、左コーナーを抜けようとするミラージュのリアが近づきます。でも今更ブレーキなんて当てられない!余計に挙動が狂う。このまま抜けるか・・・「当たるか?」しかし何事もなく抜けた!(と、思う)
ターゲットタイムが近づき、カウントダウンを始めます。だめ、遅れる!「踏んでっ!踏んでーーー!」 ピー! 6秒遅れ!

ちなみに、ゴール後の会話。
「俺、岡田さんの車に当たった?」
「いや、当たってないっちゃない?衝撃なかったし。あたしは当たると思ったけどね」
「俺も当たると思った!わはは!(笑)」(笑いごとじゃないのに)

後から聞いた話では、岡田選手の車を見ても全くスピードを落とさなかったのは上原さんだけだったそうで、ミラージュが走り去った後、岡田さんは「あいつ全然落とさんやったね・・・」と寂しそうに、フォグランプのキャップをつけていたそうです(笑)
ぶつけなくて、本当に良かったです(爆)

15CP~16CP(3.14km:アベ58)
ここでまたUターンして、逆送の下りです。ここは上原さんに合った林道。ノートがないのを理由に、日頃はなかなか見ることのできない、上原さんの運転を楽しみます。
ちなみに私は学生時代に自分でも走って競技に出ていたので、全日本ドライバーがどんな風に走るのかというのは、見たくて見たくてたまらないことなのです。でも、ナビはいろいろと忙しく、なかなか前を向いている時間がありません。
滅多に楽しめないので、目を凝らして見ていたのですが・・・・すごい。参考になるとかいう問題じゃない!
この人、本能だけで走ってる・・・・
タイムは残念ながら5秒遅れ。

17CP~18CP(3.33km:アベ58)
この林道の手前でタイヤ交換。時間が迫っていたので、私も車から降りて手伝います。
さあ、あと2本!!なんとか無事に帰って、美味しいビールを飲むのだ!
「あと2本やけど、こういうとこでリタイヤってあるけんね。気をつけようね」と声をかけ、スタート!
さすがに路面はもうぼろぼろ。何度も舌を噛み、首が「ゴキッ」と鳴るのを聞きながら、ひたすらノートを読み上げます。
ゴール!9秒遅れです。

19CP~20CP(3.51km:アベ58)
いよいよ最後の林道です。しかも路面は最悪。リタイヤだけはしないように、完走しなければ!スタート!
・・・・って、っていうか、路面最悪どこじゃない!!
もう、ノートを読む意味があるのかどうかというくらいの状態。
途中、コーナーの向こうに赤い光がちらっと見えた。リタイヤ車か!?「気をつけてっ!」コーナーを抜けると、目の前に19号車が!ラップしちゃった!?「気をつけてっ!抜いて!抜いてっ!!」19号車をラップして、ゴール!
56秒遅れ。ふひー。でもとにかく、完走したー!

成績としては満足のいくものではありませんでしたが、このイケイケコンビが年間シリーズ5位に入賞することなど、予想した人はかなり少なかったと思います。(私たち2人は年間チャンピオンを狙う気まんまんでしたが)
私が上原さんの横に乗ると決めた今年の始め、
「お前ら、自分のことを全然分かっとらんな」
「イケイケ同士が組んで完走できるわけがない!」
「面白そうだから組んでみて」
などと言われたものですが、ちゃんと年間シリーズ入賞できました!!
もちろん、来年こそはチャンピオン獲ります!

今シーズン、本当にお世話になりました。楽しくラリーができたのも、ナプロさんの支えがあったからこそだと感謝しております。
来シーズンもがんばりますので、よろしくお願いします!(私がクビにならなければ、ですが(笑))

追伸:このラリーの後、首の痛みが悪化したことは言うまでもありません。
   でも本当に、ラリー中は痛みを忘れていました・・・。人間的に問題があるのかもしれません。

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