ナビゲーター参戦レポート FRC RallyMoutainCross 2005

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全日本ラリー選手権参戦レポート

2005東日本ラリー選手権
ナビゲーター参戦レポート 第1戦 FRC RallyMoutainCross 2005

2005年4月23日(土)~24日(日)

「練習車のエボ3で、東日本Cクラスのチャンピオンもとろうぜ!!」
またまた意表をつく上原さんの言葉・・・
「ああ、いいよー」と流していたら、どうやら本気の様子で、エントリーしたよ!というメールが届きました。
全日本第1戦のグラベルではペースノートのリハビリの必要性も感じていたし、1年間ラリーから遠ざかっていたので、久しぶりに全日本以外のラリーに参戦することとなりました。

当日は朝早くからレキなので、前日から現地に入って温泉でもつかろう、ということで、久しぶりに上原家と飯田家一緒に宿を取り、ちょっと旅行気分。
仕事の都合で遅れるはずだったのが予定以上に早く終わり、上原家より先に宿に着きました。「着いたよー」と上原さんにメールすると、シャフトでやることあるから少し遅れるとの返事。
朝は4:30に起きて家を出たから寝不足だし、明日はひさびさのナイトラリーだし、先に温泉であったまって上原さんを待ってるかな・・・と、思いきや!!
マシンが出来上がらないとのことで、上原さんが宿に到着したのは24時すぎ。しかも「俺、もう27時間連続で起きてるから眠いよー」とのこと。いつもながらのハードスケジュールで体力もかなりやばそう。
ちなみに明日の起床予定時刻は5:00。明日体力もつのか・・・?

そしてラリー当日の朝。
まだ寝ている上原家と飯田家のみんなを宿に残して、出発です。
「そういやさ、ラリコンやっと動いたって言ってたけど、結局なんで動かなかったん?原因わかった?」
「あー、ラリコンね!ラリコンね、動くけどね、時計機能だけだから。」
「えー!昨日、動いたって言ってなかった?」
「うん、時計が動いたよ!」
「それってラリコン動いたって言わないんじゃ・・・・」
「あとね、高速走るだけでタイヤが当たるんだよ。あと足も最初からついてたなんか知らんやつだし、それとインカムもないよ」
「まじで・・・?まあ、いいか・・・なんとかなるやろ」

ちなみに今回のラリーは地区戦であるために、非常にタイトなスケジュールとなっています。
通常、全日本では金曜日にレキ、土日でラリーというスケジュールが主ですが、今回は土曜の早朝からレキ、お昼からサーキットSS、夕方から山に入ってのラリーで、深夜にゴールの予定。
深夜といいつつ、ラリーの進行状況によってはゴールが朝方になることも予想されるので、ヘタすると24時間ずっと起きっぱなしということもありそうです。
すっかり全日本のスケジュールに体が慣れてしまっているので、リハビリどころかかなりハードな展開になりそう。

早朝のレキをこなし、やたらと時間のかかる受付を済ませて車に戻ると、なんだかうちだけすごい物音が・・
ここは板金屋さんですか??
覗き込むと、今回「食事と簡単なメンテだけね」という約束で来てくれたサービス隊長(私のダンナ)が、トンカチ片手にフェンダーをたたき出しているではないですか(笑)
「だめですよ上原さん、これ・・・このままじゃ4輪バーストしかねないですよ」
「あ、やっぱり?」
早くも「食事と簡単なメンテ」じゃ済まなさそうな予感(笑)
でもまあこれで、バーストによるリタイヤの危険性は(多少)減ったし・・。あとチェックもオープン方式みたいだから、ラリコンなくてもチェックインはなんとかなるし、距離は補正入れて計算して走るとして、念のために前後ゼッケンの車に挨拶しておけば大丈夫。残りはインカムだけど、ひえつきのダートで叫びまくったことを考えれば、今回舗装だし、なんとかなるか・・・・
とそのとき、私と上原さんの視線が、あるものを発見!!
なんと運良く(運悪く?)、ギャラリーに来ていた、全日本選手のゾンビ山口くんが乗っているのが本番車!
「ゾンビ!インカムついてる?それペルター?」
「あ、そうですけど・・・」
「やった!!貸せっ!!」
「いえーい!インカムゲットー!!」これでなんとかなりそうです。


スタート時間まで、タイヤの上で
仮眠をとる上原さん。

さあ、ちゃんと着替えて、
そろそろスタート・・!

SS1:(1.912km):ラリーキッズ伊那サーキットコース
まず1本目は、サーキットでのSS。ここは走りこんでいる常連の人たちが速いとのことで、おそらく離されるだろうと予測します。でもここで焦っても仕方ない。まずはマシンに慣れることが大事。
それにしても走りにくそう。ここはノートを読まないことにしていたので、私は隣で応援するのみ。上原さんがんばれ!!
しかしなんだろう、このピーピーいう音・・・
タイムは1分45秒0。ベストは39秒らしいので、大体5秒ほど遅れ。
しかし、ラリーは山で勝負!!

「ねえ、さっきから気になってるんやけど、ピーピーいう音、あれなに?」
「ああ、水温やろ。ええと・・うお、115度!?」
「ええー!それって大丈夫なん??2km足らずでそんなに上がって、山のSSもつん?」
「んー、ここまでちょこまかしたコースじゃないしね。ロングSSはちょっとあれかな」
「いや、ショートの3kmだって危ないような気がするけど・・・」
「やっぱりそう思う?」
「思う・・・」
「カブトーー!!」(カブト:不幸なサービス隊長のアダナです)

サービス隊長によると、エボ3にはインタークーラーを冷やすために水を噴射するボタンがついているとのことで、SS中は私がノートを読む合間にそのボタンを押して水を出すことになりました。忙しそうだ・・・。
予備の水も積んで、これでなんとかもつことを祈って、いよいよ山に入ります!

今回のラリーで使う林道は2本。それぞれを3本ずつのSSにして使います。
最初は林道を2分割してショートSS2本。その後奥でUターンして、逆走を通しで1本。これを2本の林道で行うため、計6本のSSとなります。問題は、このロングで水温がもつかということと、Uターン時に1時間プールするので、そこで集中力が途切れてテンポが悪くなる危険性があること。
事前に上原さんには、なるべくここで寝ないで、と話しておきます。途中で寝るとどうしてもリズムが狂い、タイムが落ちるだけでなく、ミスを誘発する可能性もぐっと増えるからです。
「でも俺、昨日ほとんど寝てないよ・・・その前も寝てないし、眠いよ」
「じゃあせめて、サービスのときに寝て。プールで寝たら、ロングでタイム差出て離されるから。眠くなったら外出て。外は寒いから目覚めるよ」
「ひでえ・・・」

SS2:(3.663km)
ここで早くも悪い兆候が。
なんと、「全車イコール条件にするために、暗くなるまでスタートを待ちます」とのことで、1時間近くも待たされます。
しかし、ラリーというのは山の中で行われるために、条件は刻々と変わるのが普通。明るくなったり暗くなったり、雨や霧など、ゼッケン1つ違うだけで、環境はがらりと変わることは当たり前のことで、イコール条件などあってないもの。どうしてもそうしたいのなら、伊那での余分な1時間待ちをなくしてスタートを早めれば明るいうちに全車がSS2走れたし、ここで待たせるくらいなら、いっそ伊那のスタートを日没に合わせて遅らせればいいのに・・・なんでこんな山の中で長々と行列させるのか??
ここのラリーに出るのは初めてですが、どうもこれは相当ダレた展開を覚悟しないといけなさそうです。上原さんの体力と気力との勝負がきつそうだ。

長々と待たされて、ようやくスタート。
久しぶりのハイパワー4駆ということで、ノートの読み上げスピードをかなり気にしていましたが、初期加速以外は、あまりDC5と変わった感じはありません。それよりも、スタートして1kmもいかないうちに水温計がピーピーいいだして、ボタンを押すのが忙しい・・・!
何がなにやら分からぬままにゴール。タイムはトップの3秒落ち。つまりキロ1秒遅れ。でも後半の感触は悪くなかったし、追い上げていくことは難しくないように感じます。
「てか、まじ水忙しすぎ・・・」

SS3:(3.1143km)
少しずつ感触を取り戻した感じが出てきます。やっぱり1年のブランクって長かった・・・
タイムはベストの2秒落ち。ノートも、「SS2よりも良くなってきたよ」と言われましたが、まだまだ「やっと読めている」という感じ。本来のノートの役割にはまだまだ。
でも、だんだん楽しくなってきた!そうそう、ラリーってこんな感じだった!

SS4:(8.533km):SS2、3の逆走
いよいよ懸念のロングSS。
1時間のプールの間は、寝ないように車の外に出て、水を追加して準備します。
それにしても寒い・・・!さすが長野。しかし、こんなところでリタイヤしたら、本当に凍えそうだ。

さて、気合を入れなおして・・・スタート!
「3.5Lアンド4Rアンド3.5Lアンド3.5R、40、3.5L枯れ草アンドロング3.5から2.5Rコーション!!」てか、またまたコンマ以下の嵐。おまけに枯れ草って・・・
「コーションひとくくりにしない?」と提案したのですが、「普通のコーションと枯れ草は違うから枯れ草がいい」
という抵抗に遭い、仕方なく読むこととなりましたが、いっ、忙しいっ!!
そしてその合間に水ボタン(笑)
ボタンがすぐに手に触れないと、そのへんを探って探すことになるのですが、こういうことをしていると集中が途切れ、途中ノートが遅れそうに。慌ててノートに集中してリズムを取り戻しますが、これでは走りのリズムを作ることができない・・・焦る!
途中何度か危ない箇所があり、ふと顔を上げると目の前にガードレールが!!というところもありましたが、なんとか無事にゴール!しかしトップの4秒落ち。キロ0.5秒落ちというところですが、走り的には今までで一番いい感じ。
ようやく調子が出てきたか?
ここで一旦、サービスへ向かいます。
お腹も空いたし、暖かいものが食べたいー!

サービスに戻ると、1人寂しくサービス隊長が待っている・・と思ったら、なんとサービス隊長、楽しげに焼鳥をあぶってくつろぎ中でした(笑)
お腹も空いたし暖かいものも飲みたいけど、まずは整備申告書(サービスで整備を行う内容をオフィシャルに申告して許可をもらうための書類)を提出するのがナビの仕事。・・・しかし、オフィシャルがどこにもいない!?サービス会場を2周したけれど、やっぱりいない・・・他のゼッケンの選手に聞いたところ、どうやらオフィシャルはいないとのこと。
不思議だ・・・仮にも地区戦、こんなことでいいのか??
仕方なく整備を進め、情報収集。どうやらうちはセカンドグループのどんぐりの真っ只中にいる模様。全車のタイムは聞けなかったけれど、おそらく6位あたりにいるようです。しかしこのあたりは僅差なので、ここから飛び出さないと!
残り3本で、どこまでいけるか??

SS5:(5.525km)
サービスの再スタートも30分延び、さらにまたもやSSスタートを長々と待たされて、ようやくSS5スタートに並びます。このテンポだと、ゴールは3時頃になりそうです。集中力をどれだけ維持できるかがポイントになりそうですが、体力的にもここからの時間が一番苦しくなるところ。
スタート前に、ふと上原さんに「ね、そろそろSSベストほしくない?」と囁きます。しかし意外にも上原さん、
「いや、今日は完走ペースだから」との答え。
えええ?内心では、「その気になれば今からでもひっくり返せる」とすら思っていたのに(笑)
「でも・・ほら、1本くらいさ、なんかこう・・・ほしくない?ちょっとさ、取りにいかない?」
「いや、今日は完走印をもらって帰る!そろそろ完走せんと、シャフトの大桃さんにも愛想尽かされるぞ」
んまあ・・・上原さんからこんなことを言われようとは!!いつの間にかすっかり大人になって・・・・(涙)
しかし、イケイケ'Sとして一緒にやってきたのに、なんだか突然置いていかれた気分です。

周囲の話では、この林道はエボ3向きだということでしたが、ここでのタイムはトップの8秒遅れ。足も買ったときのままで、セッティングも何もあったもんじゃないのは確かですが、もうひとつこう、いつものリズムがほしいところ。
ノートは可もなく不可もなく、というところから抜け出せず。どうも合間に水ボタンを押すことで、さらに集中が欠けてしまい、リズムが取れません。でも、以前ならこんなことそう苦じゃなかったはずなのに・・・

SS6:(2.076km)
残すところSSもあと2本。完走ペースとはいえ、いつものリズムでいければ、自然といいタイムが出てくるはず!
と、力んだのがいけなかったのか、ここのSSのノートは最悪でした。遅れてしまって焦ったところで、立て続けに似たようなコーナーが続き、いつの間にか追い越してしまいます。ようやく追いついたのは後半になってから。
だめだ・・・全然だめだ!!頭の中で、今までのようにコーナーがイメージできなくなっているのが自分でも分かります。あと少ししかないのに、これじゃ練習に来た甲斐がない。焦るけれど、焦ってもどうにもならないのも分かっています。苦しい・・・ここまでノートがうまく読めなかったことは今までになく、こういうときにどうしたら良いのかがどうしてもわかりません。いや、どういけないのか問題点も分かっていて、そのためにはどうすればいいのかも分かっているのに、どうしても頭にイメージが繋がらないのです。いつもそこは自然にイメージに繋がっていたのに、突然繋がらなくなってしまった・・・ブランクのせい?それとも私の能力ってこんなものだったってこと?なんでできなくなっちゃったの?
あと1本なのに・・・激しい焦りと自己嫌悪で、頭の中がいっぱいになりました。
「ほらハニー、夜景がとってもきれいだよ。あれを全て君へ捧げよう」
「うん・・・ありがと」
「ハニー、でもどんなに美しい景色でも、君の美しさにはかなわないさ!」
「うん・・・知ってる」
どうもいつもの冗談にも乗れないほどヘコみ気味です(笑)

SS7:(8.475km)
ラスト1本。Uターンしてプールする1時間の間に、水を追加したり外を眺めたりして考えて・・結局、当たり前のことしか思いつきませんでした。集中、ひたすら集中する。何も考えない。とにかく集中する。それしかない。
「よし・・ラスト1本、ロングだから集中力を落とさないようにしてがんばろう!」
「おう!完走するぞ~!」
3・・・2・・1・・・スタート!
「40、5R、50、3L,40、4.5R・・・!」
丁寧に、集中して、ひたすら集中してノートを読む。そのうち、頭の中にイメージが繋がりだした。ノートを見ていても、頭の中にコーナーが見える。今のGが、どのコーナーを曲がっているGなのか分かる。この先のコーナーが、どう繋がっているか伝えられる。いつもの感覚が戻ってきた・・・
そのとき、「ピーピーピー!」ぐわ!また水温計だ!
左手でノートを押さえ、読み上げながら右手でボタンを探して・・・ぐっと押しましたが、そこはボタンじゃなかった。ボタン、あれ、ボタン・・・頭と目と左手と、まったく違う意識で右手だけががさごそと動きます。み、見つからない・・・
途端にノートのイメージが途切れそうになり、読み上げが少し遅れました。いかん、こんなことじゃどっちもだめになる。そういやさっき、「思ったより水温上がってないな。100度いってないよ」って上原さんが言っていたのを思い出しました。
ごめん、もう少し耐えてくれ!せめて次のストレートまで・・・!
もう一度ノートに集中し、ようやくリズムが取れるようになると、余裕も出てきました。あ、そうだ、水・・と思ったら、ストレートの合間に上原さんが自分で押していました。ごめん・・・私、余裕なさすぎた(涙)
「・・・キンクス50、2R、70・・2.5L、30、4L20でゴール!!」
ぶはー!!よ、読めた・・・8km長かった・・・・
「やったー!完走したー!」
「ああ、読めた・・・やっと読めた・・・きつかった・・・」
「今のは良かったよ、完璧だよ」
「あ、あたし・・・もうこんなんじゃ引退かと思って・・・はぁはぁ」
まあ完璧とは大げさですが、ようやくマトモにノートが読めて本当に良かった。しかしこんなに余裕がないんじゃ、ナビとしての仕事は果たせてないってことで、まだまだリハビリが必要ですが・・(涙)

結局、予想通りゴールは朝方で、しかもゴール会場にはまたもやオフィシャルがいない・・・提出期限は最終SSゴール後70分となっていますが、もう70分経ってしまった。こんなことでペナルティくらったらと思うと落ち着かず、コントロールシートを持ってうろうろ。提出時間をかなり過ぎたところでようやくオフィシャルが広間に入ってきたので、提出してほっと一息。
あああ、やっと終わった・・・・これでやっとゴールできた・・!
結果は残念ながら7位でしたが、上原さんは昨年の愛媛からの5戦連続リタイヤからようやく脱することができ、また私もやっと、ラリーの感触を取り戻すことができました。今回の完走の意義は大きいと思っています。
これで次の全日本は思う存分、勝ちにいけるはず!!
次戦の愛媛は、残念ながら私は都合によりエントリーできませんが、昨年組んでくれた水町ナビが私の代わりに上原さんをゴールまで連れて行ってくれます。

追記ですが、なんと上原さん、表彰式後にいそいそと、完走印をもらいにいっておりました。
驚くなかれ、上原さんはインターC(国際C級ライセンス)未取得であったのです!!(私は既に取得済み)
「確か一昨年くらいに取るって言って、ハンコ集めてなかったっけ・・?」
「集めてたよ。でもリタイヤして集まらん・・・」
「じゃあ今、国内Aのまま?」
「うん・・・」
インターC取得のためには、まず国内A級ライセンスを取得して、その後、JAF選手権(ラリー、ジムカーナ、ダートトライアル)を12ヶ月以内に6戦完走して、完走印をもらわなければいけないのです。(レースだと2戦)
ようやくリタイヤ癖から抜け出せそうな上原さんの、スタンプラリーがどうなるか!?無事にインターCが取れるのか?
こちらも今年の見どころです(笑)!!

おまけ・・・


帰り道、美味しいと評判のパンを買って嬉しそうな上原さん

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