自動車リサイクル法案の概要
去る4月12日、自動車リサイクル法案が閣議決定され、国会に提出されることになりました。この法律は、ユーザーからリサイクル料金を徴収する一方で、自動車メーカーと輸入業者に廃棄自動車から出るフロンガス類やシュレッダーダスト、エアバッグの引き取りとリサイクルを義務付けたもので、2004年末までに完全施行されることになっています。
都道府県に登録および認可された引取業者、フロン回収業者、解体業者、破砕業者があり、引取業者がユーザーから廃棄車両を引き取ってフロン回収業者に渡す→フロン回収業者がフロンガスを回収してメーカーに渡し、車は解体業者に渡す→解体業者はパーツ類を可能な限りリサイクルに回し、シュレッダーダストはメーカーに、それ以外は破砕業者に渡す→破砕業者は金属などをリサイクルに回し、最終シュレッダーダストをメーカーに渡す、というのが処理の基本的な流れ。
気になるリサイクル料金は、新車の場合は購入時に上乗せして、既に登録されている車両については次の車検時までに徴収。第三者の公益法人がその資金を管理し、メーカーは処理台数に応じて同法人に請求する仕組み。金額はメーカー側が設定できることになっていますが、1台あたり2万円が目安とされています。
こういったリサイクルの枠組みができることはすごくいいことですし、前払い制なら推定3万台近いといわれる不法投棄車両の減少も望めます。また、同法の施行に伴って自動車重量税が月割りで還付されるようになりますから、これもユーザーには嬉しい部分です。しかし、推定1兆4000億円に達するといわれるプール金を管理する公益法人は、例によって役人の天下り先になることが十分予測できますし、資金の運用方法にも懸念があります。
また、国内でリサイクルされずにそのまま輸出された場合のリサイクル料金と自動車重量税の還付制度、その還付が廃車時点での所有者に対して行われることをユーザーに周知徹底させないと、後々のトラブルの元になります。特に車の登録関係はディーラーや業者にお任せの人が大多数ですから、「そんなこと知らなかった」と後でもめることが多いような気がするのですが……。
(2002年5月2日)