車検延長問題を考える
2004年3月に閣議決定された規制改革・民間開放推進3ヵ年計画に盛り込まれた『自動車の点検・整備についての見直し』を受け、国土交通省が設置した「自動車の検査・点検整備に関する基礎調査検討会」において、車検期間の延長に関する検討が行われてきましたが、先月半ばに一応の方向性が出たようです。
それによると、排気量250ccを超える自動二輪車の初回車検を現状の2年から3年に延長されることはほぼ決定。しかし、議題に上っていた乗用車の初回4年と、営業車や大型トラックの初回2年は見送られることとなりました。ちなみにバイクの車検延長に関しては、来年の通常国会に道路運送車両法の改正案として提出され、2006年夏頃に試行される運びのようです。
何にしても規制は少ないに越したことはありませんが、ことクルマやバイクに関しては、万が一トラブルが発生すると他人の命をも危険にさらす可能性がありますから、何もかもユーザー任せにするには一抹の不安が残ります。特に日本の場合、以前このコラムで採り上げた「エアコンのドレンから垂れる水をガソリンと間違えて消防署に通報した」ケースに代表されるように、技術の進歩によるトラブルの減少に反比例するように、ユーザーのクルマのコンディションに対する意識が低下していますからなおさらです。
クルマもバイクも好きな私としては、バイクの初回車検が2年から3年に延長されるのは喜ばしいことですが、乗用車の初回車検が4年に延長されなかったことには正直ホッとしました。
クルマの走行距離はご家庭によってまちまちですが、日々買い物や送迎の足として使い、土日は近場にレジャードライブ。帰省や旅行などで年に2〜3回は遠出する、という使用環境だと、年間の走行距離はおそらく8000〜1万kmぐらいではないでしょうか? 仮に年間走行距離8000kmで4年間走ると3万2000km。エアクリーナーエレメントの交換時期が近づいていますし、市街地走行や渋滞路走行が多いとブレーキパッドも危い時期です。
保安上重要な位置づけにあるブレーキフルードも、理想は1年に1回交換で、引っ張っても2年が限度。1年に1回の法定点検をすべてのユーザーが受けてくれれば問題ありませんが、『整備は車検の時だけ』というユーザーが多い実情を考えると、いかに新車といえども4年間ノーメンテはまずいよなぁ……、というのが正直な思いです。
つい数日前、取材先に向かう首都高速で渋滞に捕まり前のクルマに続いてノロノロと走っていたところ、窓を閉めているのにも関わらず、隣りのレーンを走るクルマのリアからジャリジャリともゴリゴリともつかない異音が聞こえて来ます。明かにブレーキパッドが無くなりかけている時の音なのですが、果たしてドライバーは分かっているのか…。
(2005年2月2日)