高濃度アルコール含有燃料が販売規制に
2001年8月に「ガイアックス危うし?」というタイトルでコラムを書きましたが、2003年8月28日、そのガイアックスに代表される高濃度アルコール含有燃料の販売規制が開始されました。
ガイアックスは、ガイアエナジーというベンチャー企業が開発したもので、天然ガスや植物などから生成されたアルコールを主成分に、種々の炭化水素系ケミカルを混合した自動車用燃料。1999年から販売が開始され、「ガソリンの代わりとしてそのまま使用できる、環境に優しい、安い」といった理由から話題を呼び、マスコミにも採り上げられ、ガイアックスの販売に切り替えるガソリンスタンドもかなりの数に上りました。
ところが、2001年6月、ホンダ・オデッセイプレステージのアルミ製燃料配管が腐食して燃料が漏れ、車両火災が発生する事件が起こりました。そのクルマに使われていたのが当時話題になっていたガイアックス。その後2ヵ月間に9件のトラブルが発生し、内4件で火災が発生。ホンダ車以外では火災こそ発生していないものの、国土交通省や国民生活センターに類似の不具合が報告され、一気に旗色が悪くなってしまいました。
ガソリンでは起こらなかったことがガイアックスで起きてしまったことは、覆すことのできない事実です。しかし、ガイアエナジーのHPに詳しく書かれている、オデッセイでの車両火災の発生から、国による高濃度アルコール含有燃料の実態調査、ダメ出しに至る経緯を読む限りでは「出る杭は打たれる」という思いを抱かざるを得ません。試験に使われたアルミの素材、試験に使われた燃料、当時のオデッセイで立て続けに行われていた燃料配管系の設計変更…。ガイアックスが90%のシェアを占めているとはいえ、それ以外にもいくつかの高濃度アルコール含有燃料が発売されているにもかかわらず、10羽ひと絡げで行われた今回の販売規制も然りです。
とにもかくにも、今回の規制で「ガソリンへのエタノールの混合率は3%まで、その他の含酸素化合物は含酸素率1.3%まで」と定められ、ガイアックスを含む高濃度アルコール含有燃料は販売できないことになりました。
しかし、将来的な化石燃料の枯渇が叫ばれ、燃料電池車の開発が急ピッチで進められる中、その間を埋める燃料として貴重な存在であることは純然たる事実です。それを育てようとせず、極端な言い方をすれば潰しにかかった国、自動車メーカー、石油業界を「小せえなぁ」と思うのは私だけでしょうか?
(2003年9月2日)