クルマとアスベスト
最近、アスベスト関連の話題が連日報道されていますね。かつてクルマやバイクでもブレーキパッドやクラッチの摩擦材として使われていたアスベスト(石綿)は、天然に産出される細かい繊維状の鉱物で、耐熱性、絶縁性、耐摩耗性に優れ、しかも安価なことから、建材や断熱材、摩擦材などに広く使われて来ました。ところが、このアスベストを吸い込むと肺ガンの原因になることが分かり、1975年に建物の内壁などに吹き付けての使用が禁止されました。
ブレーキパッドやブレーキシュー、クラッチのフリクションディスクにアスベストが使われなくなったのがいつ頃のことか定かではないのですが、私がバイクのレースを走っていた1985年前後には、市販車のブレーキパッドはすべてのノンアスベストに代わっていましたが、レース用にはアスベスト系のパッドが手に入る時代でした。
当時は今ほど情報も多くなく、漠然と「発ガン性があるから使用禁止になった」、「ブレーキダストは吸わない方がいい」という程度の認識しかなく、サーキットでもバイクショップでも、分解したドラムブレーキをエアガンで吹いているシーンをよく見かけました。真偽のほどは定かではありませんが、「ブレーキダストに含まれるアスベストは、一度高熱が加わっているから無害」などという噂もまことしやかに伝わっていました。
そんなアスベスト系のパッドも次第に手に入らなくなり、アスベストそのものがこの世から消えたと思っていたのですが、最近の報道を見て「まだ使われていたんだ」というのが正直な思いです。
アスベストによる健康被害の厄介なところは、吸ってから20年、30年してから発症するところ。「大丈夫!」とは思いつつちょっと不安なアンドーです。そんなバイクショップや修理工場のおじさん、多いのではないでしょうか…
(2005年8月4日)