市販マフラーは存続できるか?
私自身はクルマのマフラーを交換する趣向がないのでどうでもいいことなのですが、今、国土交通省と環境省が中心となって市販マフラーの騒音規制を強化する動きに出ています。
元々日本の自動車の騒音規制には2種類あります。ひとつ自動車メーカーが新型車を開発する際にかけられる騒音規制。もうひとつは我々ユーザーに直接関係してくる車検に通るかどうかの騒音規制です。世界一厳しいと言われるのは新車時にかけられる規制で、車検や警察による取締りの対象となる規制はそれよりも緩くなっています。
新車時の規制では数値そのものが厳しいのはもちろん、測定方法にも停止状態での近接騒音、一定の速度で走行している状態での定速騒音、加速状態での加速騒音の3種類をクリアしなければなりませんが、警察の取り締まりや車検では定速騒音と加速騒音は測定できないため、仮に違反が疑われて測定するとしても近接騒音しか測ることができません。その結果「近接騒音は規制値クリアしているけど加速騒音は爆音」というマフラーが存在するわけです。
新しい騒音規制では、近接騒音、定速騒音、加速騒音をクリアしたマフラーに国として認証を与え、認証のないマフラーは同じ規制値をクリアしていることを証明する書類を提出しないと車検に通らないことになっています。
自動車メーカーはいつもやっていることですから何ら問題ありませんが、市販マフラーメーカーはこれまでの近接騒音に加えて定速騒音と加速騒音のテストも行わなければならないため、当然コストがかかります。また、現状ではこの定速騒音と加速騒音を測定する施設が日本に1ヶ所しかなく、自動車メーカーやバイクメーカーもそこでテストしていますから時間もかなりかかってしまいそうです。
そしてもうひとつの問題が騒音規制値。なんと国が想定しているのは新車と同じ値なんです。新車と同じ音量でパワーを上げるのは至難の業。それ以前に新車と同じ音量で、しかもコスト増で値段の上がったマフラーをユーザーが買うでしょうか?
昨年末に試案があがり、今年1月にパブリックコメントが募集された段階で、まだ内容が確定したわけではありませんが、もしこのまま施行されるとなると市販マフラーメーカーにとっては会社の存続にも関わる大問題です。
(2007年3月5日)