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全日本ラリー選手権参戦レポート

東日本ラリー選手権
第1戦 FRCマウンテンクロス2006

ナビゲーター参戦レポート

東日本ラリー選手権 第1戦
FRC Rally
2006年4月22日(土)~23日(日)

久しぶりのラリー!
「今年は産休をとる!!」と宣言しておきながら、また乗ってしまった(笑)
一体我が家の人生設計はどうなる・・・・。

さて、去年もこのラリーでリハビリをしましたが、今年もこのラリーが私のリハビリ。
なんと去年の北海道の悪夢からまさに半年以上ぶりのラリー。来週には全日本戦のヘルプも入っており、今日のラリーで感触を取り戻さねばなりません。
しかしここのラリーは鬼門なんだよなー・・・

今回も朝からのレキのため、早朝5時に家を出発。
そしてなぜか、同じ時間に家を出るカブト。
「ね、今日はイトウさんのサービスで行くんでしょ?朝はレキだから、まだサービスいらないんじゃ?」
「朝から来て、って言われたから・・・」
ふうん。愛だな(笑)
っていうかそんなに早く来たら、また上原号のメンテ頼まれるだけだぞ(笑)!!

さて、予定通り8:00の受付開始時間に集合場所に到着。
が、オフィシャルがいない・・・・。またか、と思いきや、実は最初にもらった書類と後から届いた受理書で書いてある集合時間が違うことが判明。
なんと1時間も早く着いてしまった~~!!
いつも『九州時間』と言われる私たちにとって、集合時間より1時間も早く着いてしまうなんて、こんなの屈辱!!
まあ、たまにはこういうのもいいか(笑)

レキを済ませて受付に行くと、公式通知でスタート時間が30分早まるとのこと。
慌てて準備を進めていると、もうドラバーズブリーフィングの時間。結構忙しい。
スタート時間が迫っているというのにブリーフィングは意味なく30分もかかり(しかも肝心の大事な話より6条の話ばっかだった)、みんなあたふたとテントへ戻ります。
うちはゼッケン9なので、スタートまであまり時間がない!!焦る!!
急いで着替えてエボに乗り込んで、スタートです!

さて、今回使われる林道は2本。1本の林道を往復で4回走り、もう1本の林道は上りのみ1本を走ります。
つまりSSは5本のみ。
レキが楽なのは良いんだけど、これじゃちょっと物足りないなー。

【Stage1】
1CPに到着すると、まだ準備が終わっていないらしく、競技車は長蛇の列。
これは到着予定時間にチェックを通過することはできないな・・・。前ゼッケンの人たちに話を聞きにいくと、
「もうCP通過予定時刻には間に合わないからさ、このままSS1スタート地点まで行って、そこで申告したタイムを書いてもらおうってことになったんだ」
な・・・なんでそんなことエントラントが決めるの!?
しかし去年もこうだった。エントラントがCP処理を勝手に決めるなんて、このラリーくらいのもんだ。
まさに去年のデジャヴュ。ってことは、今後の進行具合も、去年と同じ展開を覚悟しないといけないのか・・・
早くも憂鬱。

SS1:(8.007km)
さて、久しぶりのペースノート。去年のリハビリでは散々だったけど、今年はどうかしらね。
3・・2・・1・・・スタート!「20!3Lアンド3Lロング20・・」
上原さんもエボを探りながら、私もノートは探りながらという感じ。
「40、2.8L、30・・!!」
2.8L手前、キャーッ!と音を響かせながら、エボはまっすぐ進みます。
え!?まだスタートして数コーナーよ!?ちょっとちょっと、もうここで逝くの!?
ここで刺さったら絶対スタートにいるオフィシャルにも聞こえちゃうよ!でまた「早っ!」とか言われちゃうよ!!
とかいうことが一瞬のうちに頭の中を駆け巡ります(笑)
が、なんとかエボは左を向いてくれました。その後もヒヤヒヤしつつ、なんとかゴール!
はー。とりあえずゴールできて良かったね・・・。

SS2:(7.995km)
ここは先ほどのSSの下り。
1時間半(もっとか?)のプールの後なので、集中力を取り戻すのが大事。
「エボだとさ、30のストレートでも加速するじゃん?そうするとさ、次のコーナーが大切になるんだよな」
と上原さんからの指示。
そうか、2駆だと車速を落とさないようにするのが精一杯のストレートでも、エボだと加速するから、ノートの読み方ももっと変えなくちゃいけないんだ。そっかそっか。
「じゃあ・・・こういうところとか、こういうところ・・・こことかは、例えばこう、読んだ方がいいよね?」
「そうそう、それがいいな」
「わかった・・・じゃあやってみるね」
ってことで、今年2本目のSSで早くもノート修正。
「ではいくよ・・・3・・・2・・・1・・スタート!」
「5Lアンド5から3Rアンド2.8L20・・・」
ってか、今回もまた2.8とか出るんかい!!そろそろどうにかしようよ(笑)!!
「2.8R、ロング3L、2.8Rアンド2.5Rアンド2.8Lアンド・・・・」
ちょっと待てーーーい!!2.5と2.8の違いってなんだ!!
と心の中で叫びつつ、ゴール。
「はあはあ・・・あのさあ、2.8と2.5の連続ってなんなのよ・・・」
「いや、俺あそこはさ、本当は2.75にしたかったんだ!」
「そんなの許さーーーーーん!!!」
さて、ここで判明した事実がひとつ。
「なんかタイム出ねーなー」
「だねー。今のはそう悪くなかったと思うんだけど・・・」
「あれ?ブーストがピークで0.4!?」
「はあ?うそでしょ?」
「いや、本当、これ・・・・そういやさ、今日って1度でもターボかかったっけ?」
「ああっ!そういや、一度もかかってないよ多分!!」
なんということでしょう。SS2をゴールしてやっと気づいたこの事実。
「カブトに電話してくれ!」
「あいさ!」
サービスに着くと、呆れ顔のカブトが待っていました。
「っていうかさ、あなたたち・・・なんで今まで気づかなかったのよ(笑)それでもラリーストかい!!」
「おっしゃるとおりで・・・」
そんなこんなでサービスはいつものとおり、上原号のメンテでおおわらわ。いつもいつもすいませんです・・・(笑)
しかし結局ターボは復活せず。NAのまま残りの3本も走ることとなった。上原さんもがっくり。私もがっくり。
しかししょうがない、今日はきっちり完走して、完走印もらって帰るとしよう!!

SS3:(8.007km:SS1と同じ)
ここはSS1と同じ林道。1ステと同じように、この林道を上がって下りて、最後の林道へ移動することとなる。
はー、またあのプールがあるのね。気分はさらにテンションダウーン。
しかしそんなこと言ってられない。NAでもできるだけのことをするのだ!
1本目よりもさらにノートの読み方をライン取りを意識したものにして読み上げる。悪くない・・と思うよ?
しかしやはりタイムは遠く及ばず。はあ・・・こういうのって悔しいし、疲れる。

SS4:(7.995km:SS2と同じ)
またまた長いプールの時間を経て、やっとこSS4。やっぱり朝方コース確定か。
とにかくこういうときが集中力も切れて危ない。プールの合間もノートの修正をして、ドライバーがラインをイメージしやすい読み方ができるように補足を入れる。
しっかり気合を入れて、最後まで完走しよう!
「3・・・2・・・1・・スタート!」
上原さんがラインを意識して走るのが分かる。私もノートをタイミングよく読み上げて、上原さんがラインをイメージできるようにしないと・・・NAってのもなかなか練習になるな。
しかし、ゴールまであと1km程度というところで、突然スピードを落として止まった上原さん。
「どうしたの??」
「SOSサインだ!!」
「え!?」
ノートを読んでいた私には見えなかった。慌てて外を見ると、前ゼッケンのナビがSOSサインを出して叫んでいる。
「助けて!!まだ下にいる!!助けて、死んじゃう!!」
その声を聞いて私の周りの空気が変わったように思った。どうしよう・・どうしよう・・だめだ、落ち着け!!
車を降りて道に出ると、目の前には真っ黒なブラックマークがまっすぐにアウト側に向かっていて、そこに向けて上原さんが道から降りていくのが見えた。大丈夫、上原さんはお医者さんだ。私はまず後続を安全に止めよう。
「私が三停板もって行きます!!ここスピード乗るから、もっと手前で後ろ止めて下さい!!」
と叫んでトランクを開ける。動揺しているのか、うまく出せない。手が震えている。
だめだ、私がこんなんでどうする。落ち着いて確実にひとつひとつやるんだ、パニクったらだめだ・・・!
やっと三停板を外して振り返ると、後ろゼッケンがコーナーから出てくるところだった。ちょうどそこに前ゼッケンのナビがいたので、ものすごいブレーキ音が響いた。
「もっと手前で止めて!そこ危ないですから!」と叫びながら三停板を持って走る。
と、一度は止まったはずの後ろゼッケンが走り出した。私の横でまた減速するが、すぐまた加速して行ってしまった。
「とまれーーーーっ!!」と叫ぶが、聞こえるはずもない。
前ゼッケンのドライバーの状況がまだわからない以上、1人でも多く、早く人手がほしい。
「ここに三停板1枚置きます!!ここは速度乗るから、もう1枚を手前コーナーに置きます!懐中電灯持ってくるから、それまで安全なイン側にいて後続を止めてください!・・・大丈夫、うちのドラはお医者ですから。今降りて診てますから。後続を安全に止めて下さい。」
ナビに話し掛け、懐中電灯を取りに車に戻ると、上原さんの姿が見えた。
「どう?意識は?ある!?」
大きくうなずきながら降りていく上原さんの後姿を見て、少しだけほっとした。ケガがひどくても、きっとまだなんとかなるはず。早く人手を増やして救出しないと・・・!
懐中電灯を持って走り、後続を止める。これで人数が増えた。
「男性の手が必要です!!私と一緒に来てください!!」
「わかった!!」
降りていくと、前面から落ちた競技車が見える。ドライバーは足を挟まれて出られないらしい。
「もっと人数がいる!それと、工具も!」
「わかった、呼んでくる!」
土手を駆け上がり、さらに止まった後続に声をかけ、懐中電灯を集める。
「明かり持ってきましたー!」と叫びながら降りたら、足元が土で滑ってずるずると落ちだした。
「うわ・・・」これじゃ車追い越しちゃう!!と咄嗟にしりもちをついたら、そこには外れたバンパーが!!
しかも端の部分が直角に上を向いている。
「ひゃー!」なんとかギリギリで着地。
「大丈夫か?」と車内から上原さんの声がする。
「ダイジョブダイジョブ!」と答えるが、実はマジで危なかった。あんなシリアスな場面で隣で切れ痔大出血だなんて、笑い話にもならん。
幸い、ドライバーは足を強く挟まれていたわけではないらしい。ドアがめり込んでいるので、みんなでヒンジから外す。
上原さんは中で話し掛けながら、ハンドルを外している。救急車とレスキューを依頼し、私はみんなの手元を懐中電灯で照らす。
先にハンドルが外れ、ドライバーは自力で脱出。 よかったーー!!
自力で歩けて意識もしっかりしているようなので、ほっとした。
ああ、本当に良かった・・・。
皆さんに借りた工具や懐中電灯を返しにまわって、ふと振り向くと、そこには落ちた競技車に繋がった牽引ロープを にぎった上原さんが。
「・・・なにしてるの?」
「なんか、渡された。」
「車が落ちないように・・・? っていうか上原さんが持ってても、車が落ちだしたら止められないと思うよ(笑)」
「俺もそう思う。なあ、車が落ちたら俺も落ちると思う?」
「手、離さなければ落ちるだろうね。いいじゃん、みんなうちが落ちたと思い込んでるだろうから、上原さんが落ちても、みんなも『やっぱり~!』って納得するよ(笑)」
「ひでえ!でもまあ、みんなそう思ってるだろうな(笑)」
ケガをしたドライバーが無事に搬送され、私たちもオンコースに戻りましたが、他のゼッケンと会うたびに
「・・・あれえ!?」「え!?大丈夫なの!?」と声をかけられる始末(笑)
だーーかーーらーーー!!落ちたのはうちの前ゼッケンなんだって(笑)!!
でもまあ、推測というのは過去の実績によってなされるものであるから、そういう意味ではそのデマは正しい(笑)
結局この林道を最後に競技は終了となりましたが、なんというか、私にとっては色々と考えさせられるラリーになりました。

ラリーという競技をやっている以上、今回のようなことは決して他人事ではありません。
今回の私たちのように、落ちたのが前ゼッケンであった場合、真っ先に対処しなければいけないのは私たちになる。
そのとき、何をしなくてはいけないのか。何ができるのか。
上原さんがお医者さんだったからドライバーを診るのを任せられたけれど、そんなラッキーな偶然は滅多にないわけです。もっとひどいケガだった場合、もっと緊急性が高いケガだった場合、初期の対応が一番大切になるでしょう。
でもどれだけの人がきちんと対応できるのか?
今回も、上原さんがいてくれたにも関わらず、現場は混乱しきっていました。
競技車の横から、「救急車呼んでください!」「○○の工具ください!」「明かりください!」と叫んでも、
道にいる人たちには何も通じません。いちいち私が道まで上がって言わないと通じない。こんな簡単なことでも。
そんな状態で、指示することができる医師もいなかったらどうなるでしょう。
もしかしたら、救える人も救えないかもしれない。

ドライバーズブリーフィングでは、OKとSOSサインを配る主催者も増えてきたと思います。けれど今回のように、それの正しい使い方や決め事についてきちんと話されないこともある。
だから、SOSサインを見ても止まらない車両も出てくる。
たったそれだけのことが、何かを大きく左右することもあるはず。
選手もオフィシャルも、もっともっと真剣に考えてやっていかないといけないな、と改めて思いました。
っていうかですね。日記にも書いたんですけどね。
SOSだす確率はうちのクルーが一番高いんですよ(笑)!!しかもハンパな落ち方じゃないですからね、マジで止まってもらわないとヤバイと思うんですよ。
まあ、いつも忘れられた頃に笑顔で這い上がってくるんで、こう言っても信憑性ないかもしれないですが(笑)
そんなこんなで、今年最初のラリーは、やはり思い出深いものとなったのでした。

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