ナビゲーター参戦レポート ツール・ド・九州 in 七山

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全日本ラリー選手権参戦レポート

2005全日本ラリー選手権2輪駆動部門参戦レポート

2005全日本選手権ラリー
ナビゲーター参戦レポート 第1戦 ツール・ド・九州 in 七山

2005年4月9日(土)

ラリー・・・
その甘美な響き。その言葉の向こうにある青い空、白い雲、緑繁る林道。
ラリー・・・!
それはもう、私がまだうら若き乙女であった頃から、もはや日常の一部であったもの。
春になれば虫が地上に這い出て、花が咲いて小鳥が鳴くのと同じように、春になればシーズンが始まり、それが私の「今年」の始まりとなる。
それなのに・・・ラリー生活が10年となった記念すべき2004年、なんと私は呪われたプロジェクトのメンバーとなり、地獄の日々を過ごすことになったのです。
昨年のこの開幕戦の参戦記を読むと、「7月のシステム稼動後に復帰します!」と書いていますが、なんと本稼動が10月までずれ込んでしまったがために、昨年は2戦目以降のイベントには全く参戦できなくなってしまったのです。

毎戦違うナビとイベントを追う上原さんにも、そして犠牲者となるナビの皆さんにも申し訳なく思いつつ、「来年は絶対に全戦、出るんだ!!」という思いを支えにして、月300時間残業の日々を耐えて、なんとか生きて帰ってこれました。
そうして迎えた、今年の開幕戦。感無量です。
ああ、ラリー、ラリー。ラリー!ラリー!!あたし帰ってこれた!!
のですが・・・
相変わらず「マシン間に合わん!フェリーに乗せられなかった!木曜に自走で出るけど一緒に行くか?あ、飛行機はまとめてキャンセルしたよ」という上原さんからのメール。先週の、「ノートの読み合わせいつやる?」というメールはなんだったのでしょう・・・。
ああ、ラリー。1年前と何も変わってない・・・


車検中の様子です。

木曜の午後に埼玉を出発し、交代で運転して、朝5時に福岡着。
そのままインテの中で仮眠を取り、レキに参加。
炎天下の中のレキで上原さんも私も体力を使い果たし、ラリー前日を楽しむ余裕もなく、ばったりと眠りに落ちました。ああ、いつも以上に過酷・・・。

こうして迎えた本番当日。
懐かしい面々と挨拶を交わしながら、準備を進めます。
今回の七山はフルグリッドで、Bクラスはなんと32台のエントリーです。
七山のコースは独特のリズムがあるために、全日本常連選手だけでなく、地元選手も大きな脅威です。完全には仕上がっていないインテと、体力ぼろぼろの私達2人、一体どこまでいけるのか!?


さー、スタート間近、
がんばるぞー!

今回、SSは全部で16本。3本の林道を使って競技が行われます。
最初は比較的、上原さんが得意とする林道。私もここのノートはリズムをとりやすく、割と好きなところです。 ただ、今回からノートの作り方を若干変えたので、うまく読めるかどうかが不安。事前に練習もなしで、しかも1年のブランクの後。でもまあとにかく、読むしかないのだ。やってるうちにカンも戻るだろう、がんばろう!

【Leg1 Section1】
SS1:(2.38km)
スタート1分前、いつものように最初の数コーナーの形状を繰り返し読み上げながら、オフィシャルの秒読みを聞く。
3・・・2・・・1・・・・スタート!
ノートの読み上げがどうもぎくしゃくする。それにインテのおシリの出方も、なんだか気に入らない感じ。加速はいいので、ノートの読み上げが何度か遅れてしまう・・・くそう、自分で思ってたよりも1年のブランクってきつい。
なんとかリズムを作ろうとするも、うまくいかず。
オフィシャルにベストを聞くと、うちより3秒も速い。くう、キロ1秒以上も離されたのか!?(でもリザルトを見ると、うちのゼッケンまでのベストタイムには、そこまで離されていなかった・・オフィシャルの勘違い?)

SS2:(4.24km)
この林道は、上原さんがあまり得意ではない林道。ここを苦手とする選手は割と多く、私もここのノートは毎回苦労するところ。
気合を入れて・・・スタート!
「ロング4R、20、ロング4.5から4.2Lアンド5R・・・!」
しかしなんだ、この4.5とか4.2って!?
コンマ以下は読み上げにも時間をとるし、なるべくやめようって決めているのですが、でもそれでもどうしてもコンマ以下で読んでほしいときがあるのも理解できる。だから極力コンマ以下は作らないようにしていたはずなのに・・・
今回、ヘンなコンマ以下が多すぎるっ!!
「クレスト、3.8Lアンド3.2Rアンド3.2L、ロング4R・・・」
い、忙しいっ!!
ばたばた読んでいるとタイミングがずれた。ううう、うまくリズムが作れない。
ナビ本来の役割を果たせないままにゴール!
だめだ、これじゃ読むので手一杯じゃん・・・悔しい・・悔しい!
前ゼッケンの曽根選手や岡田選手とはタイム差はないけれど、『七山番長』の異名をとる松尾選手からは、やはり3秒遅れている。
うむむ・・・

SS3:(2.60km)
ペースノートの問題点はなんとなく分かってきた。ここらでいつもと同じレベルまではもっていきたい。焦らず、しっかり・・・
3・・・2・・・1・・・スタート!
「3.5L、30、ロング3.2Lアンド3.5L、20、3.5R・・」
うお、いきなりコンマ以下の嵐。しかし必死で読む。ようやく周囲を見る余裕が出てきた。上原さんも、インテの感触をつかむのが難しそうだ。でも、お互いに少し、ノートにもマシンにも慣れてきたか?
ここはトップの1秒落ち。距離が短いこともあり、トップ集団とは大きな差は開けられていない。このままペースを上げていきたいところ。

「んー。やっとこノートが普通に読めるようにはなってきたと思うけど・・でも、リズムが全然作れてないね。ごめん・・思ったよりブランクきついな。」
「そうだな・・まとめて読むところがね、こう読んでほしいな」
ふむふむ・・・じゃあノートに記号つけておくかな・・・と、下を向いてノートに書き込みながら移動区間を走っていたら・・・突然、マシンがツーッと滑る感触が??
顔を上げると、右コーナーをそのまままっすぐ・・・!「ああっ!」と思ったときには、土手に刺さっておりました・・・しかも目の前には、よりによって岩が!2人同時に「な、なんで!?」「なんで??」
そして、窓の外からは「シューーーー・・・」という音が。バーストだ!


そしてまた、フォグ壊しました・・・

急いでマシンを端に寄せ、後続車を通しながらタイヤ交換。
後ろゼッケンの森選手は、呆然とした顔でこっちを見ながら通過。・・・そりゃそうだよね、アベ25の繋ぎ区間で刺さるとは、誰も思わないよね・・・。
後続ゼッケン皆に不審な顔をされたり笑われたりしながら、なんとかタイヤ交換して戦線復帰!
ああ、距離がある区間で良かった・・・。TCにも遅れなかったので、ペナルティなしで復帰できました。ほっ。
それにしても、アベ25で刺さるとは。ナビの私ですら予想できなかった。
さすが上原さん、おそるべし。

SS4:(2.38km):SS1と同じ
さて、気を取り直していくぞ!
ここから3本は、SS1~3と同じコースを再び走ります。
しかし同じコースとはいえ、残念ながら1秒しかタイムアップできず。トップからは4秒離されてしまいました。悔しい・・・・

SS5:(4.24km):SS2と同じ
だんだんとノートの感触が取り戻せてきたけれど、まだリズムがぎくしゃくしている感じ。上原さんも、マシンとうまく折り合いがつかないような様子で、いつものテンションにならない。しかもタイヤはだんだんたれてきて、とてももたない。
タイムはさっきより1秒近く落ちてしまった。どうも、少し足の感触もおかしいらしい。さっき土手に刺さったときのが原因か?あと1本走れば、サービスになる。なんとかそこまでいくしかない。

SS6:(2.60km):SS3と同じ
ここでもタイムは1秒半落ちてしまった。
20分のサービスを挟んで、セクション2となり、また6本のSSを走ります。
サービスはたったの20分。足への影響が大きくなければいいけど・・・

【Leg1 Section2】
ばたばたとサービスを受け、時間ギリギリでサービスを出発。
足は特に問題なかった模様。これで安心してセクション2を走れます。
よっし!

SS7:(2.38km):SS1、SS4と同じ
同じコース、3本目。
タイムは、
SS1・・1:55.3
SS4・・1:56.0
SS7・・1:54.1
1本目より1秒タイムアップですが、トップからは3秒離されました。
きついな・・・

ペースノートは漸く取り戻せてきた感じですが、なんとなくまだ、ノートとリズムとマシンと上原さんが一体になりません。いつものラテンのリズムに乗っているときは、これら全部に一体感が感じられるのに、今日はそれがまだ・・・でも、焦りは禁物。そろそろきっと・・・!

SS8:(4.24km):SS2、SS5と同じ
ここでもタイムは変わらずです。
トップは17秒を出してきました。その差6秒。距離が長いだけに、差も大きくなります。
SS2・・3:23.6
SS5・・3:24.2
SS8・・3:23.7
「ノートはようやく、いつものレベルに戻せたと思うけど・・でも、タイムがあまり上がらなかったね。読み上げ、良くなかった?」
「いや、ノートは今のでよかったよ。このインテがこのコースに合わないんだな。ここはこれ以上のタイムアップはきついかもしれん・・それより、タイヤがもたねえ。次のセクションで履くタイヤがもうないよ・・・!」

SS9:(2.60km):SS3、SS6と同じ
1本目よりもタイムが落ちてしまいました。タイヤがどんどん辛くなってくるのが分かります。耐えてくれる、と思ったところで耐えてくれなかったり。上原さんの調子は上がってきているのに、今度はタイヤがついてきてくれません。
トップ榊選手は2:04.7を出してきました。さすが七山キング・・・
SS3・・2:07.5
SS6・・2:09.1
SS9・・2:08.9

そして、このSSのゴール後、トラブル発生!なんとサイドブレーキが戻らなくなったのです。2人して必死に戻そうとするけれど、どうもボタンがひっかかってるのか、押せない状態。引けば引くほどサイドはがちがちと上がってきて、どんどんハマっていきます。
ボタンを力まかせに叩いたらようやくサイドは戻りましたが、こんな状態ではSSスタート時にサイドを引くわけにはいかなくなりました。むう、ますます厳しくなってきたな・・・

SS10:(2.38km):SS1、SS4、SS7と同じ
このSSから、スタート時にサイドブレーキを使用できなくなりました。
さらに、かなりタイヤがたれてきている状態です。距離が短いこともあって、各車ともSS7とのタイム差はほとんどありません。
うちとトップとのタイム差は3秒。
SS1・・・1:55.3
SS4・・・1:56.0
SS7・・・1:54.1
SS10・・1:54.7
トップとの差を大きく詰めることは難しい上に、次のセクションでは、もう交換するタイヤがありません・・・どうしよう!?

SS11:(2.24km):SS2、SS5、SS8と同じ
スタート時にサイドを引くことができない上原インテは、とても穏やかにスタート(笑)!
タイヤはたれてきているけれど、ノートも上原さんの調子も良くなってきて、全体のリズムも悪くない。ただ、タイヤがついてきてくれれば・・・!
こんな状態では、ノートの読み上げで少しリズムが狂っただけで、大変なことになってしまう。必死になって読み上げている途中、ふと顔を上げると、右側に人が・・・!OKサインもまだ持っておらず、大きく手で左に寄れと合図しているのが見えます。その先にはクラッシュした車が・・次のノートを見るために、もう1人がどうしていたのか、何号車だったのか分からなかったけれど、かなりの勢いで突っ込んだことが分かります。
大丈夫かな・・・と気になりますが、明日は我が身。このリズムを乱さないように、ひたすらノートを読み上げます。
あと少しでギャラリーコーナーだな・・という右コーナーで、ガン!という衝撃が。顔を上げると、なんとか道の上を走っています。感触からいって、路肩か土手にぶつけた感じ?急いでまた顔を戻してノートを読み・・・「ロング3R、30・・・」おかしい、もう右に曲がるGがきてもいいのに?と思った瞬間、さっきよりもすごい衝撃が車体に!
顔を上げると、目の前にガードレールががががが!
さらに道に戻った瞬間、足元に、今までと違う嫌な感触が!
咄嗟に「まだいける?」と聞きましたが、上原さんはそのまま右の広い路肩に車を寄せて停車。「無理!バースト!足も多分・・・」
私はOKサイン、上原さんは三停板をつかんで走り出て、後続車へ合図・・・
こうして開幕戦は・・・私の1年ぶりのラリーは終わりました。

後続車が全て通過後、積載車でギャラリーコーナー先の広場まで運んでもらい、タイヤ交換と点検。ロアアームがかなりひどく曲がっている模様。
帰りかけていたギャラリーの皆さんも戻ってきて、パシャパシャと記念撮影が始まりました(笑)
どうやら私達がクラッシュした音は、数コーナー先のギャラリーコーナーにも聞こえていたらしく、その音だけでどよめきが起きたとか(笑)
そんなにひどくぶつかったわけじゃないですけどね・・・(多分)

全車通過後、実況見分してみました。


右コーナーをまっすぐ走る
ブラックマークが分かります

ここでバーストして

ウィンカーがもげて

足が曲がって・・・

ゼッケンもどっかにちぎれて・・

意外とボディは軽症?

ゼッケンを外す上原さん。

良く見ると、左タイヤは
まっすぐなのに

右タイヤはこれ。
ロアアーム曲がってますね。

今回は、インテが完全な状態ではなかったこと、そして私達も、前日の長距離移動のために体力不足で、なかなか集中力を強くもつことができなかったことが、非常に辛いことでした。パーツが届かなかったのは北海道の大雪のためとはいえ、体勢を十分に整えられなかったことは大きな反省点です。
次戦は必ず、体勢を整えて、良い成績を残したいと思います。
応援してくださった皆様には申し訳ない結果でしたが、次は必ず!がんばります!

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