第41回ソネットラリー

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全日本ラリー選手権参戦レポート

2002全日本ラリー選手権2輪駆動部門参戦レポート

ナビゲーター参戦レポート 第7戦 第41回ソネットラリー

久しぶりのラリーです。
5月のひえつき優勝という夢のようなラリーの後、岐阜でのあっという間の転落リタイヤという信じられない展開になり、そのまま2ヶ月も空いてしまって、なんだかものすごい久しぶりって感じです。
しかも、このソネットは全日本にはめずらしく、ナビの計算が要求されるので、計算ラリーを数年やっていない私には鬼門なのです。
おまけに、アルテッチャは今回のラリーが最後となります。有終の美を飾るためにも、シリーズポイントのためにも、なんとか勝ちたい!
あああ、なんかものすごいプレッシャー(泣)!!

いつものように、ぎりぎりになって会社に休暇願いを出し、やっと金曜日のレキに出ることが決まった木曜日。
荷造りを終え、ダンナの手作りカレーを美味しく頂き、ワインを1杯飲んでリラックスしていたら・・・
うう、き、気分が悪い!!トイレに駆け込むこと数回(失礼)・・・一体何が起こったのか!?ダンナはけろりとしています。
ワインだって1杯しか飲んでないのに・・・なんで!?
は!!もしかして、もう戦いは始まっているのか!?
(ダンナと私は同じBクラスでライバル同士です)
手作りカレーにやられたのか!?ゆ、油断したか!!
とりあえず早めに寝て、明日のレキに備えることにしましたが・・・・

【8月30日(金)レキ当日】
たっぷり8時間寝たし、もう体調はOKかな?・・・と思ったら、全然回復してない!
相変わらずの吐き気をこらえて身支度を済ませていたら、上原さんから電話。
状況を伝えると、「よし、薬をやるから待っとけ」との心強い一言。
家の前の道路にしゃがみこんで待っていると、おお、完全復活したアルテッチャが!!
早速薬を飲み、レキ会場へ向かいます。
(ちなみに上原さんのおかげで、岩槻インターに入る頃には体調はすっかり復活し(早すぎ)、蓮田では豚まんを頬張っておりました(笑))

相変わらず、猛暑の中のレキは辛かった。レキに続いての、しのいでの練習走行を済ませ、さあ宿に帰ろうとしたそのとき。
ライバルである、レビンの山口くんの顔色が非常に悪い!!
どうやら、ドラナビ共に食あたりらしい。そこで上原さんの登場!
「薬をやるけど、1錠で何秒くれる?ん?」
というあたり、さすがだが(笑)

それにしても山口くん、ものすごい顔色。青くて黒いよ。
あたし、「死体ってこんなんなのかな」って思っちゃったよ。
「明日は負けませんよ、あはははは」と笑っている顔が、さらに怖かった・・・・

宿に戻る間にも、某O田選手のセリカが止まって、コンビニの駐車場でバッテリーを移植するなどのいつものトラブルはありましたが、とりあえず宿に到着。きれいで広いお風呂に入り、ペースノート清書して、さあ、ビールよっ!と思ったら、上原さんからビール禁止令が。
「まあ、良くなりたいんだったら、酒は飲むな。但し、今日飲まないことで、明日機嫌が悪くなるんだったら、飲んでもいいけどな」
「分かった、じゃあ飲むよ」
「お前はアル中かい!!」
結局、ダンナからも「一番ちっちゃいやつならいいよ」という許可をもらったので、泣く泣く350缶を1本だけ、買いました。
ぷはー。やっぱりあれですな、ラリーの前後はビールですな!!

【8月31日(土)ラリー当日】
朝は曇っていたけれど、スタートが近づくにつれてだんだん晴れてきた。
これは雨は降りそうにないな。ソネットのラリーは、いつも雨のせいでのリタイヤが多くて大変なのだが、今回は大丈夫か?
久しぶりに会うみんなに挨拶をしながら、だんだんスタートが近づいてくるこの感じ。
わくわくしてきた!ううう、やっぱりラリー楽しい!!

まずはしのいまでの移動走行です。
今回のソネットは一味違って、CP間の移動は時間走行になっていて、へんなナビ減点はくらわないようになっています。けれど、油断してミスなんてしたら、それこそ命とり。
ただの移動なのに、2人ともやたら無口。
やっぱり、あの岐阜での派手なリタイヤの後で、2人とも緊張しているのか?

しのいに着くと、たくさんのギャラリーが見えてきた。
ギャラリーステージって、この感じがいいのよねー!

【SS1:しのいサーキット1本目】
最初のステージは、しのいサーキット2周を3本走ります。
3台ずつ、時間をおいてスタートすることになりますが、しのいのステージでは、スピンやコースアウトで後続車を止めると判断され、赤旗を振られたら、その場でリタイヤ扱いとなり、林道には出られません。通常のラリーの考え方とはちょっと違うわけですが、上原さんのような派手なスピンをかましたら、問答無用で赤旗を振られる恐れ大。
「頼むけん、スピンはせんどってよ・・・ここでリタイヤなんてしたら林道走れんけんね。どうせここじゃ大きな差はつかん。しっかりついていけさえすればいい。無理はせんこと!」
と懇願して、スタートに並びます。
サーキットのスピーカーからは、今まさに走っている、私のダンナのタイムがベストだというアナウンスが流れています。
「うおお!これは負けられんよ!勝つばい、勝つ!」
「お前、さっきまで安全に走れとか言いよったのに・・・」
「絶対ひっくり返せ!スタートー!いけーー!」

タイムは1分41秒6。トップは1分37秒3。
1周につき1秒の遅れくらいにしたいところ。やっぱり奥のライン取りがキモかな・・・それにしても上原さん、ゼブラに乗せすぎ!着地したときに肋骨に響いて痛い。

【SS2:しのいサーキット2本目】
さっきよりはいいライン取りでいけてる感じ。でも、なんだかぎくしゃくしててリズムが悪い。
これをスムーズにできれば、もう1秒はタイムを縮められると思う。
しのいサーキットは単純で、ノートを読む必要がないので、私は心ゆくまでSSを堪能できるのだが、なるほど・・・いつもノートを見てて、周りを見ることなんてないけど、上原さんの運転って、こういう感じなのね。
それにしても、サーキットだからいいけど、山の中でもこれなのかと思うと・・・こわ。

タイムは1分42秒1。トップは1分37秒ちょうど。
トップのタイムがさっきと変わらないということは、相当に走りこんでるということか?

【SS3:しのいサーキット3本目】
いよいよ、しのいでの最後のSSです。
ここでリタイヤなんかしたら、肝心の林道を走れなくなる。
「リズムを大事にしていってみよう、1秒は縮まると思う。他はいつも通りでいいよ。最後のしのいやけんね、ここで絶対にスピンせんごとね!」
それにしてもこのスタート直後のこの加速、去年までのAクラスでは絶対に味わえなかった感覚。
思わず歯を食いしばるくらい。アルテッチャが今回限りなんてもったいない!
最後の1本では、メカの森園くんから禁止されてた「土屋K一走り」でゼブラをまたぎ、壊れるかという音をさせながら、なんとか走りきった。

しのいでのタイムはトータル305.9点。トップは292.1点。差がついてしまったけど、ラリーの勝負は林道だ!
さあ、いよいよここからが本番、いくぞ!!

今回のコースは、約7.7kmの長い林道を、前半、後半、トータルの3本に分けてSSを行い、後は別の林道で、ハイアベCPを2本回します。
使っている林道が2本ということは、道をふさぐようなリタイヤがあった場合、タイムスケジュールはかなり押すことになり、そうなると体力と気力の勝負になります。
「俺の予感だと、最後のロングSSが勝負だな!!」と、上原さん。
「最後までちゃんと生き残ってよ・・・」(心のつぶやき)

【2CP:ハイアベのインCP 約3km】
3kmちょっとのハイアベです。
オフィシャルによると、57では乗れないだろうという話。別の情報では関東戦だか何だかのCクラスインプが乗れなかったらしいが、細い道だから逆に、2駆のBなら乗れるかも。とりあえず、ペースノート重視でいくために、チェックラインぎりぎりで先にチェック処理を済ませ、すぐにペースノートを読めるようにしておく。
秒数を読み上げて・・・チェックイン!「28号車!!00秒っ!」叫びながら手を伸ばし、チェックカードをひったくる。アベ57!変更なし!
確認しつつ、チェックカードをケースに入れつつ、窓を閉めつつ、ノートを読む。
い、忙しすぎる!!
しかし、この足で林道を走るのはこれが初めて。ま、曲がる曲がる!頭が気持ちいいくらいに入っていく!でも・・・横向きすぎ(笑)!
左コーナーで右側がガケのコーションコーナーで、思いっきりリアが出て、ガケが近づいてくる!ガケの向こうは真っ暗闇!
「うっひょーー!」思わず叫ぶ(しかし情けない叫び声)が、なんとかアルテッチャは曲がっていく。もう・・・落ちるのは岐阜でたくさんよ。

ゴールしたタイムを見ると、6秒の遅れ。これなら乗れそうだ。2本目はナビの仕事が増える・・・。

【SS4:約1.6km】
このSSは、ロングSSの前半のみ、約1.6kmを走る。
今度はSSなのでペースノートに集中できる。橋が3箇所も出てくるので気をつけないと。
頭から水浴びなんて嫌だからね(笑)
さあ、久々のSSだ!3・・・2・・・1・・スタートっ!
久しぶりのせいか、上原さんにしてはめずらしく安全な走り。私も必死でノートを読んでいるうちにゴール!はふー。どうも緊張する。

【SS5:約5km】
つなぎ区間を走って、ロングSSの後半に移動。
さっきは安全ペースだったし短かったけど、長いSSになるとロストする可能性も高くなる。
気を引き締めて、スタート!「ストレート50、3Lアンド4L、3.5Lアンド・・」
ロストしないように、リズムをつくれるように必死で叫ぶ!ここは後半になって連続のコーナーが増えてくるため、遅れやすい。必死になって読んでいると、「待ったっ!」と上原さんが叫ぶ。遅れまいとして、追い越してしまったらしい。連続するコーナーの場合、いちいち顔をあげてコーナーの確認はできないため、私は体にかかるGで判断して読み上げるようにする。でも、5や6の緩いコーナーになると、連続するGで判断が難しくなってくるのだ。全神経をGに向けて、集中して、読みあげる。
「5Rアンド4Rで・・・ゴールっ!」
オフィシャルにここまでのベストを聞くと、2秒負けている。ということは、これより後ろのゼッケンには、もっと負けているということか。
上原さんがぼそりと「これじゃだめだな・・・」とつぶやく。
「だめって?」
「完走ペースじゃだめだってこと」
「え!?完走ペースだったの?」
「ラリーってのは普通そうやろ」
「あ、そっか・・・」
すっかり上原カラーに染まっていた私。そう、ラリーは完走してナンボなのだ(笑)
さすがに岐阜のリタイヤは、上原さんにも堪えていたらしい。

サービスに戻って、しのいでのサーキットSSと1ステの合計を出す。現在9位。
ダンナは4秒差で6位。1、2位は異次元の速さで、3位とは18秒差。4位とは8秒差だから、4位まではひっくり返せそうだ。
状況を伝えると、上原さんのスイッチが入った!突然テンションが高くなり、意味不明な言葉をしゃべりだし、
「Are You Ready? I’m Not Ready! イエー!」
などとダンナに話しかけている(しかも準備できてないんかい)山口くんの手にお茶をこぼし(ほとんどわざとだったが)、ダンナに意味不明の言葉を浴びせ、星空の下でくるくる回って踊り出した。さあ、テンションあがっていい感じよ!
2ステでひっくり返す!絶対に!!

【SS6:約1.6km】
テンションの高くなった上原さんの走りは、俄然リズムを取り戻し始めたようです。
これこれ、この感じ!・・・と思っていたら、コーナーの途中で、三角停止板を持った選手が一生懸命手を振っているのが見えた。
停止板を置いてないということは、まだリタイヤして間もないということ。ってことは、誰?
「リタイヤ車!気をつけてっ!!」
競技車が見えた!前ゼッケンの河野選手だ!これで上位が1台いなくなった!
人の不幸を喜ぶのは悪いですが、これで順位は1つ上がったことになります。
ゴール!「28号車っ!ベストはっ?」「ベストタイム!!」
やった!!まだまだ後ろゼッケンがいいタイムを出してくるかもしれないけれど、今日初めてのベストタイム!いい感じ!波に乗り始めたぞ!

【SS7:約5km(SS5と同じ)】
スタート前、ライバルであるレビンの山口選手が近寄ってきました。「さっき何秒でした?」
こういうとき、ナビの頭の中はものすごい速さで考えがぐるぐる回ります。
本当のことを言うべきか・・・言うと火をつけるかもしれないしなあ・・・うそ言うか?
いや、でもうそってのはなあ・・・などと迷っていると、「言わないってことは、オレがまだ勝ってるってことですね?」と一人納得して乗りこんでいってしまった。
なんてプラス思考なんだ・・・・お、おそろしい。
まあとにかく、油断してくれているようだ。待っとけ、すぐに追いつくぞ!!

「よし、リズムに乗ってきたよー!この調子でいこう!」
「おう!」
「あ、でもね、何も考えんでいいけんね。色々考えずに、いつものリズムでいけばいいけんね」
「いつものリズムって?」
「いつものリズムよ」
「ボサノバ?パッパパヤッパ パッパッパパヤー♪(イパネマの娘)」
「なんでボサノバね!!サンバよサンバ!ほら、笛吹いてさ、ピッピッピー!ピッピッピピー!」
「ヘコホコヘコホコヘコホコヘコホコ♪ヤー!」
「ピーピピピッピピッピッピピー!イヤー!」
前ゼッケンがスタートしていくのを見ながら、アルテッツァの中はメットを被った2人が踊り狂うという、ものすごいことになっています。
よっし、テンションばっちり!行け!3・・・2・・1・・スタート!!

すばらしい、すばらしいリズム!これこそ上原走りだ!
リアを振りながら、ものすごい動きをしながら走り抜けます!ゴール!
「28号車!!ベストはっ!?」「ベスト!!」
やったあ!2本連続ベスト!あと1本!あと1本!
そして、岡田選手もここでリタイヤ。上位がまた1台減った!よし、よし!いけるぞ!

【6CP ハイアベ57(2CPと同じ)】
ここは1ステで6秒遅れで入ったハイアベチェックです。
1ステの感触からいくと、今度は乗れそうです。となると、ナビはペースノートを読み上げるだけでなく、ゴール間近の状況でドライバーに「このままいくか、ペースを落とすか」の指示も出さなければいけません。あの早い展開の中で、ノートを読み上げるだけでも大変なのに、それ以上のことができるのか!?
おそらく、乗れるとしても1秒かそこら。最後の最後にブレーキを踏むかアクセルを踏みこむかの違いでいける。「最後のコーナーの後に、ブレーキ!か踏んで!か、指示を出すけんね、それで行ってね」と上原さんに伝え、いざ、チェックイン!
オフィシャルからチェックカードをむしり取り、ノートを読み上げます。やっぱりいいペース!これなら乗れるかも・・・とラリコンを見る。乗れそう、しかも結構大きい。最後のブレーキの指示くらいじゃ抑えられないかも?どうしよう?と考えた途端、読み上げが遅れた!!しまった!
アルテッツァの挙動が乱れ、大きく流れた!「しっかり、しっかりっ!」
必死に車を抑えつけ、なんとか落ちずに済んだけど・・・これじゃ逆に遅れちゃう!
残りはロストしないようにと必死に読み上げます。「・・・4R、6L、ゴール!」
なんと、そのまま入ってばっちり、減点ゼロの秒で入りました!素晴らしい!!

【SS8 約7.7km(SS4、5の通し)】
いよいよ最後のSSです。3位の片糸選手とは大きく差がついているため、3位まではひっくり返せないかもしれないけど、これだけ長いSS、何があるか分からない。
「ここでペースは変えないでおこう。このままのサンバのリズムでねっ!」
「おう!」
「このまま行けばダンナに勝てる・・・勝つのよっ!勝つ!!」(ものすごい気合)
気合充分!さあ、スタート!!

長いSSとなるとロストもしやすくなり、それでリズムが崩れると大きくタイムダウンすることになってしまいます。ここまできて、絶対に失敗はしない!!
「3R!4-3L!ストレート50!ストレートエンド4R!!」
いいリズム!でも、ところどころ霧が出てきて、コーナーを曲がると視界が真っ白なんてこともある。
うわ、こんなとこでペースノートロストでもしたら、そのまま落ちちゃうよ!責任重大!!
上原さんは、ペースノートを信じて変わらないスピードで突っ込んでいきます。
ひえつきのときも思ったけど、この人、私のペースノートを本当に信じてる!ひえー!怖い!!
上原さんのペースも上がってきて、ハイスピードコーナーが続くようなところでは、ペースノートの
読み上げが遅れそうになる。顔を上げて確認するヒマなんてないので、体に感じるGだけで読み上げていく。
本当に合っているのか?間違えたらそのまま落ちるぞ!?でも、顔上げて確認なんてするヒマない!
信じて行け!いけーーー! ゴール!!ぶ、無事だった・・・生きてる・・・・
「28号車!ベストは?」「ベストォ!!」
よし!よしよしよし!1本目より5秒縮めてる。後ろゼッケンも縮めてきてるだろうけど、とりあえずこれで4位確定だ!!

やったーー!9位からの怒涛の追い上げ!!入賞だ!!
そして、夫婦対決は私の勝利よっ!!うわはははー!やったー!うれしー!

ゴール後、宿に戻ってビールで乾杯し、お風呂に入ってゆっくり眠りました。
翌日になって暫定結果を見ると、あれ、あれれ?3位の片糸選手と1.7秒差!?なんで!?
どうやら後半で大きくペースダウンしたようです。
ああ、しのいで各SSで1秒ずつでもタイムを削れていたら・・・1ステからあのペースだったら・・「たられば」が浮かんで仕方ありませんが、これがラリー。完走して、結果が出て、それが全てなのです。

アルテッツァの最後をメダルで飾ることができなかったのは残念ですが、全く練習できなかった状態で4位入賞は嬉しいです。これで年間シリーズ入賞圏内にとどまることができた!
最終戦は大分です。しかも、上原さん得意のダート!
このリズムをさらに上向きにして、次もがんばります!

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